これまで適応障害から復職までを時系列に従って書いてきましたが、休職に入るまでに至りましたので体験記は一時中断し、今回は休職に至るまでの経緯の中で、今だからこそ思う反省点や皆さんに知ってほしいことをまとめてみたいと思います。
第一回目の今日は適応障害の自覚症状についてです。
病院を訪れようと思ったきっかけ
私は最終的に自分の判断で病院に行き休職の診断をもらいました。
病院に行こうと思った理由は以下のような症状が現れたからでした。
- 特に運動もしていないのに、1日中動悸が止まらなかった
- 不安や焦りが大きく、落ち着いて机に座っていられなかった
- 文章を読んでも意味が理解できず書くことは全くできなかった
- 趣味や音楽に何の感情も抱けず、楽しいことがこの世から消えたように感じた
- 今この瞬間を生きることに精一杯で、一週間が地獄のような長さに感じた
今にして思うとなかなかの重症です。
もっと前に気付いて対処出来れば良かったのですが、適応障害についての知識は全く持ち合わせておらず、おまけに自分のこととなると病気とはなかなか気づけないものです。
上記のような症状は徐々に進行していったため、最初は年齢のせいだと思っていました。自分の実務能力や感受性が年齢と共に落ちていく中で、部下をどう使って目標達成していくのかが、中年のサラリーマンに求められている仕事なんだと思っていました。
上司にもそう言われていました。
結果、ここに至るまで何の対処も出来ずに病院に駆け込むしか無い状況まで追い詰められたのです。
感じた違和感
はっきりと自覚できる症状が出る前に違和感のようなものは感じ始めていました。
身体的な違和感としては何もしていないのに心臓がドクドクと激しく動いている時があることでした。リラックスしているはずの時によく発生しており不思議に思っていました。

仕事上の違和感としては、まず意味の分からないミスの発生が増えました。
ミスしたことは仕方ないのですが、後から振り返ってみても、どこをどう間違ってこの結果に至ったのか、検討もつかないぐらいかけ離れた結果を仕事の答えとしているミスが多くありました。
次に定例の会議や打ち合わせで話すべき内容が無くなっていきました。以前はトップの承認を得る、他部門の調整を取る、全体への通達事項など話したいことはかなりの数があり定例会議だけでは間に合わなかったときもあったのですが、いつの頃からか話す内容が無くなり、最終的に何を話したら良いのかがわからなくなっていきました。
たぶん仕事が進んでいないから無いのでしょうが、しばらくはなぜ話す内容が無いのか不思議に思っていた時期がありました。
こういった違和感を感じた私が取った対処法は「時間をかけて仕事を頑張る」でした。ミスの尻拭いのために残業したり、会議での提案や報告ができるように休日出勤で仕事を進めようとしたり、終電ぎりぎりまで頑張ったり、無理を重ねる方向にどんどん進んでいきました。

長時間労働の弊害
ところが頑張っても何故か仕事は終わりませんでした。
簡単と思えるような企画業務が一週間経っても二週間経っても終わりません。毎日会社に来て一生懸命に考えているのですがなぜか案がまとまりません。まとまらない原因が全く分からないのですがとにかく完成しないのです。
その時点で私は既に適応障害の症状の一つである「思考抑制」が出ていたのだと思います。
「思考抑制」とはその名の通り思考することを脳が勝手に抑制している状態を言います。
様々なストレスにさらされた結果、脳が防御反応として生存に必要な最低限の活動以外を抑制し、複雑な思考や集中力の必要なことが一切できなくなるのです。
私が特に困った症状
適応障害の症状は様々有ります。抑うつ気分が強く何事もやる気にならない、焦りや不安に押しつぶされそうになるなどといった気分障害が一般的に思いつく症状だと思うのですが、自分が一番困った症状はこの「思考抑制」でした。
最後の方は頭が回っていないことが自分でもはっきりとわかり、上に書いたように文章を読んでも意味が理解できないのはもちろん、テレビを見ても理解できず、最悪なのは人との会話に困っていました。
例えば上司に仕事上のことで話しかけられた際に、体はいつも通り息を吸い込み声を発する準備を自然と行うのですが、そのときに言うべき言葉が頭の中になぜかありません。結果、息を吸った状態で「えっ」と言って止まってしまうことが多くありました。
上司には馬鹿にされました。それが仕事をしていない証拠だと罵られました。非常に悔しかったのですが、なぜ話す内容が思いつかないのか理解できませんでした。そして仕事をしていないとの指摘はもっともだと理解するしかありませんでした。
私はいつの段階でどのような選択肢を採れば病気にならずに済んだのでしょうか。
次回は経験した今だから思う対処法を書いてみたいと思います。


コメント