趣味は移動
私は旅行が好きです。
しかし有名な観光地に行くことが好きなのではありません。
典型的なぼっちの中年おじさんなので、カップルや家族の幸せそうな姿を見ると、いたたまれなくなって、有名観光地は足早に通り過ぎてしまいます。
しかし一人で知らない道を通ったり、知らない電車に乗ったり、新しい景色を眺めるのは大好きです。それが何の変哲も無い、どこにでもありそうな普通の景色だったとしてもです。
前回の記事で「旅行」と言うより移動が好きだと書いた理由はそういうことでした。

そういった意味でプロフィール欄にある趣味も、ひたすら景色を眺めながら移動する「長距離ドライブ」としています。
そんな私の次なる移動手段は特急いしづち、予讃線を一路愛媛県の松山へ向かいます。
車窓から眺める景色は美しく、しばしぼーっとしていました。

適応障害と脳疲労とぼーっとすること
適応障害になってからというもの病気の事を知りたくて、本やWebサイト、youtube動画を漁っていました。詳しくはまた別の機会にまとめたいと思うのですが、適応障害も含めて精神疾患の多くは脳の疲労が関係しており、脳を休めることが絶対的に必要なのだそうです。
そして脳を休めるに何もしないでぼーっとしているのが良いと。
しかし疲労が溜まった脳ほど安易に手に入る快楽、刺激を求めてしまうようです。
この頃の私は休みの日になると特に面白くもないyoutubeを次から次へと何時間も見続けていました。
これが典型的な症状で、結果常に刺激を受け続ける脳には更に疲労が積み重なっていったのです。

脳疲労が積み重なると集中力や思考力を発揮することができなくなります。
「Youtubeは見れば見るほど頭が悪くなる」とおっしゃる精神科医もいらっしゃるほどです。
適応障害で私が一番苦しんだ症状、頭が回らない、考えることができないはこれも大きな原因でした。
思い返すと私は子供の頃よく一日中ぼーっとして過ごしていました。
特に勉強をするわけでも遊ぶわけでもなく。
両親には遊んでいいから何かしろと怒られていたものです。
人より多少学校の成績が良かったのはこのぼーっとしている時間のおかげだったのでしょうか。
スマホを手放せなかった日々
辛い思いを抱えながら会社に出勤していた頃は仕事中も数分ごとにスマホを開いていました。
特に見るものは無いのです。
だって家族も恋人もいないから誰からも連絡は来ません。
でも触ってしまいます。そしてどうでもいいSNSや掲示板を眺めて、昼食時は面白くもない動画を見ていました。
仕事中もそうだったのですから休職中の今は本当に酷い状況です。
興味のある分野の動画は全て見尽くしたのに、それでもひたすら画面を更新させては次の動画を探しています。
見ても特に面白くはないので、動画を見ながら頭は既に次の動画を探しています。
脳疲労のことを理解できた後でもこの誘惑を断つことはできませんでした。

そこで考えたのが旅行でした。
綺麗な景色を眺めていれば少しスマホから離れられるかもしれない。
今回の旅行にはそんな目的も含まれていました。
それでも5分に1回ぐらいスマホを触ってしまうのですが。
幸せな時間
松山に到着しました。
松山は15年ほど前から仕事でもプライベートでも良く訪れている町です。
唯一心を割ってはなせる友人に会って適応障害で休職に至った辛い気持ちを慰めてもらう予定です。
夜に待ち合わせをして深夜まで食事をして過ごしました。
思いがけず、一週間ほど前に過ぎた誕生日も祝ってもらいました。
久しぶりに気の置けない友人と話をするのはやっぱり良いものです。
心はとても穏やかになりました。
そして春にはまた来るよと約束をして別れました。
思えば、病院に駆け込んだときは先のことは一切考えられませんでした。
一週間が辛く地獄のような日々でした。
一ヶ月先に至っては自分が生きてこの世にいるイメージが全く湧きませんでした。
ところが今日は楽しく話ができてまた会いに来たいなと思いました。
今度また来るねって数ヶ月先の話が自然とできました。
未来に少しだけ希望や楽しみを見いだせたような、なんだか不思議でそしてちょっと嬉しい夜でした。


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