3回目の診察で、私はついに休職を決意しました。
でも、休職の許可は職場で誰よりも話したくなかった相手―つまり上司―に伝えなければなりませんでした。
結果として休職はあっさりと決まりましたが、そこに至るまでの葛藤や、伝えたときの上司の意外な反応、そしてその後の気持ちの変化は、自分でも驚くものでした。
休職申請
いよいよ休職を決断する日がきました。
本日は3回目の診察です。
もう心は完全に休職に傾いていますが、上司に切り出すことを考えると憂鬱です。
そもそものストレスの原因にもなっている上司に話さなければならないのですから。
医師にその辺のことを相談すると、気持ちはわかるけど意外とあっさり終わることの方が多いですよ。とのアドバイス。
本人が自覚する大分前から周りは異変に気付いているのだそうです。
上司の立場から見ると仕事の出来が悪いからイライラしたり思わず怒鳴ったりしてしまうことはあるが、心の底では何故できないのか不思議に思って心配していることが多いとのこと。
休職を切り出した際に最も多い返答は「もっと早く言ってくれれば良かったのに」だそうです。
そういうものなのだろうか。
自分の場合は何と返答されるだろうか。
考えてみますがわかりません。
いずれにせよ自分を守るためには話してみるしかないことだけはわかります。
休職の決断と上司との対話
覚悟を決めて翌週の月曜日出社します。
午前中はいつも通り過ごしているふりをしながら昼過ぎに上司の時間をもらいました。
その場で夏頃からずっと体調が悪かったこと、病院に行って適応障害の診断を受けたこと、休職が必要と言われていることを話しました。

「適応障害って何?」
「うつ病の手前のようなものです。」
正確な定義はわかりませんが端的に答えました。
「わかった。前から変だと思ってたけどそういうことだったのか。まずしばらく休め。」
「最後は話してくれたから良かったけど、もっと早く言ってくれても良かったのに」
えっ!
医師から聞いていた、最も多い返答例が返ってきました。
そして、その場であっさりと休職が決まってしまいました。
このスピード感には自分でもびっくりです。
どうやら私の様子がおかしいことに上司はもちろん社長も気付いていたようです。
そこで別部署への異動をさせたほうが良いのか対応を考えているところだったと。
薬の処方と休職が必要なほど重症とは思っていなかったが、それでもおかしかった理由がわかって安心したと。
やはり様子がおかしいことは本人より前に周りが気付くもののようです。
引き継ぎ期間として3週間を確保し、それが終了次第休みに入ることになりました。
話し終わるとその日はどっと疲れが来ました。
今までは先が見えない不安感に押しつぶされそうでしたが、休職が決まったら決まったで今度は休むことに不安を感じ始めました。
動悸が止まらず何も手がつきませんでした。
休んでも休まなくても不安を感じる自分に嫌気が差しながらその日は帰宅しました。
休職決定後の体調
翌日以降、なぜか体調は日に日に良くなっていきました。
この場から離れることが決まって心が軽くなったからでしょうか。
オフィスでは他の社員と笑顔で冗談を言い合えるようになりました。

正直休職は必要無いのではと思えるレベルまで心は軽くなりました。
やっぱり休まなくて大丈夫と切り出そうかと何度も思いました。
一度休職をすると以後普通の目では見てもらえないでしょうし、役職も外れて給与も大幅にカットされるはずです。
精神的に辛かったときは給与が半分以下になる転職も本気で考えていましたが、いざ休職が決まると今の給与が惜しくなります。
しかし周りは決められたスケジュール通り淡々と休職に向かっていきます。
医師からは休職中の過ごし方について説明がありました。
上司への仕事の引き継ぎも順調に終わりました。
部下や他部署への引き継ぎも順次進んでいきます。
休職することは隠したままなので、本来私がやるべき仕事を引き継がれて不思議そうな顔をしている人もいましたが、特に理由を聞かれることはありませんでした。
あっという間に2週間が過ぎ休職の日が近付いてきます。
休職する事への不安は全然消えずこのまま仕事を続けることを何度も考えました。
しかし気分が良いだけで仕事が進むようになったわけではありません。
なぜだか理由はわかりませんが相変わらず仕事はできません。既に自分の能力に全く自信が持てず仕事どころか文書一つ書けるイメージすらありませんでした。もらっている給与に見合った仕事は全くできていません。
休んでどうなるかわかりませんがこのまま仕事を続けることはやはり無理なようです。
最終出勤日と休職開始の瞬間
いよいよ休職前の最終出勤日です。
業務終了後に、仕事上で関わりのある社内の人宛に「体調不良で1ヶ月休む旨」のメールを用意しました。伝え方に迷い何度も書き直し文章を推敲しました。
そして意を決して震える指で送信ボタンをクリックします。

ついに長期休養が始まります。
ありがたいことに、メールを送信した当日中に体調を心配する電話を何件かもらいました。
感謝を伝え、命に関わるような病気ではないから安心してくれとの話をして電話を切りました。
時間は20時45分。
いよいよ明日からは肩の荷を下ろせる。
休みに入ることが半分信じられないような非現実感を感じながら
初めての休職に入っていきました。


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