休職2週間目の旅行
ようやく起きていられる時間が増えてきたころ、以前から決めていた旅に出かけることにしました。
行先は香川県の高松へ、寝台特急サンライズ瀬戸での移動です。
ご存じない方のために説明しますと、寝台特急サンライズとは現在日本国内で定期運航している唯一の寝台列車で、東京~出雲・高松を結んでいます。東京駅出発時は出雲行きの列車と高松行きの列車が併結されており、途中の岡山駅で分かれてそれぞれの終着駅へ向かいます。
旅行(というか移動)が好きな私は一度でいいからこの寝台列車に乗ってみたいと以前から思っていたものでした。
しかしサンライズは大変人気のある列車で思い立ったときに切符を取ることはほぼ不可能です。特に土日祝日の列車は発売と同時に売り切れということも珍しくありません。
今回は平日に休みが取れますので休職前から予約して楽しみにしていました。
本当はもう少し休んでから行きたかったのですが、休職期間が予定より2週間後ろにずれこんでしまったため、十分な休みを取れないまま出発することになってしまいました。
しかしそんなことはどうでも良くて楽しみにしていた列車に乗ることができるのでわくわくしていました。
東京駅始発~夜行列車のわくわく
サンライズは東京駅始発で途中横浜駅にも止まります。自宅からは横浜駅の方が圧倒的に近いのですが、せっかくですから東京駅から乗車することにしました。
列車のホームへの入線を見てひとしきり感動した後、駅弁と缶ビールを購入して乗り込みました。
部屋はこの列車では一般的な一人部屋である「シングル」です。

ほぼベッドのみと狭いのですがスーツケース1つなら収納出来るスペースがあり、簡易的なテーブルもあるので一人で翌朝まで過ごすのに困ることはありません。
駅で買ったお弁当とお酒をテーブルに広げて部屋に用意してある寝間着に着替えて車窓から駅を眺めます。
21時50分列車はゆっくりと東京駅を後にしました。
車窓から眺める東京の景色
車窓から眺める東京圏の駅はまだ仕事帰りのサラリーマンがあふれています。
自分も少し前まであの中にいたんだなあ、いやこの時間はまだ会社か。
などととりとめの無いことを考えていました。
窓に映るビルの灯と行き交うサラリーマンの姿、それとは対照的な自分の今の姿
比べてみると嫌に悲しく感じました。
目の前にいるサラリーマンたちはこんな遅くまで頑張っているのに、私は仕事に、会社に、上司に敗れて、みんなの姿を窓の反対側から眺めているのです。
次々と過ぎ去っていく駅を眺めながらなんとも言えない感傷に浸っていました。

咳と眠れるぬ夜
横浜駅を過ぎるとそろそろ郊外に入り車窓の景色も退屈になってきました。
時刻も遅くなってきたのでいつまでも感傷に浸っていないでそろそろ寝ようかと思ったのですが、ここで大問題が発生です。
咳が止まらずに眠ることができません。
実は休職前に引いた風邪の咳が残っており、一度咳が出始めるとしばらく止まらなくなります。
それにプラスして列車特有の暖房で空気は異常なほど乾燥しており、それにとどめを刺されたのか本当に止まらなくなってきました。
横になると余計に咳が止まらなくなるので、上半身を壁にもたれかかりながらうつらうつらとする以外方法はありませんでした。
隣の部屋に咳の音が聞こえていないことを祈るばかりです。
夜明けの瀬戸大橋そして高松へ
浅い眠りに入っては咳で目が覚めるということを繰り返しながら、気付けば岡山駅まで来ていました。ここからは瀬戸大橋に突入です。ここからの景色が大好きな私は目を覚まして窓にもたれかかります。
瀬戸大橋は何度か通ったことがあるのですが、電車で通るのは15年ぶりぐらいでしょうか。綺麗な海と点在する小島と行き交う船舶、絶景を見ていると本当に心が安らぎます。
幼少の頃は東北日本海側で育った私、海と言えば暗くて激しい波のイメージだった自分にはこの景色はいつまででも見ていることができます。

そして高松駅に着きました。「香川と言ったらやっぱりうどん」ということで駅前のうどん屋に入り朝食としました。

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