もう限界だと思った日

適応障害体験記

いつもの朝

平日は朝5時30分起床、準備をして6時30分に家を出ます。職場までは片道約1時間の電車通勤、勤務地は都内の某ターミナル駅です。

8時前には会社に着き仕事を開始、帰りは21時頃で終電近くになることもしばしばありました。

祝日は無く土日もどちらかは出勤して遅れている仕事を処理する毎日です。

大変だとは思いつつもそれが当然であった私の社会人人生。

独身のまま50歳に手が届きそうな年になっても変わらぬ日常としてこのような生活を送っていました。

違和感

異変に気付いたのはスーツでも過ごしやすくなってきたある年の秋の頃。特に何もしていないのに心臓の鼓動が激しくドクドクと鳴り、いつまでたっても止まりません。

「なんだろう」胸に手を当てて考えます。仕事は変わらず忙しい日々でした。

そんな頃に上司から叱責を受けることが多くなりました。
「最近お前は何をやっているんだ」「何の成果も出していない」

確かに自分でも思います。何の成果も出していないと。

なぜか最近、簡単なはずの仕事が終わりません。残業しても休日出勤しても終わりません。

抱えているプロジェクトも進みません。方針を出してスケジュールを出してメンバーに業務を割振りますが進みません。

上司に報告を求められます。でも何もできていないので報告出来ません。なぜできていないのかがわからないので「できていないこと」の報告もできません。

「なぜだろう?」いくら考えてもどうしたら仕事が進むのか終わるのかわかりません。いや考えること自体ができません。頭が固まったように動かないように感じます。

自分の仕事も部下に任せる仕事も他部署と連携する仕事も、全てが全くと言って良いほど進みません。

だんだんと会社にいることが嫌になってきました。上司の声が聞こえるだけで何とも言いようのない不安感や焦りや嫌悪感にさいなまれるようになりました。

オフィスを見つめる視界が狭くゆがんで見えるような気がしてきます。「何かがおかしい」そう思っていました。

限界を迎えた日


秋も深まりいよいよ冬の訪れが迫ったある金曜日のことでした。

その日も動悸が朝から止まりません。強い不安感にさいなまれ視界がどんどん狭まっていきます。上司に見られていること、上司の声が聞こえることが嫌でいてもたってもいられずオフィスを飛び出しました。

当てもなくふらふらと駅の方に向かって歩きました。途中に線路を見下ろせる高架があります。歩いているときにふとここに落ちたら楽になるのかなと思いました。

飛び降りたくなったわけではありません。ただもし落ちたら楽かなと思っただけです。


しばらくその場でぼんやりしていましたがふと我に返り線路に落ちることを考えていた自分が怖くなりました。

「自分はうつ病ではないか」以前から薄々感じていたことです。
「病院に行ってみよう」線路に落ちる以外にこの状況から抜け出すにはそれしか方法が考えられませんでした。

心療内科の検索を始めたところ幸い自宅近くに土曜日もやっているクリニックを見つけました。口コミも悪くはなさそうです。電話をかけ翌週の土曜日に予約をお願いしました。

本当は翌日の土曜日に行きたかったのですが私の予定が合わなかったのです。予約も取れて少し安心したので会社に戻ることにしました。

10分ほど歩き会社の建物が近付いてきます。

・・・だめです。不安感が大きく視界が狭まってきました。

やっぱり普通じゃありません。このままではどうにかなってしまいそうです。

その場でクリニックの予約を明日に変更してもらい自分の予定はキャンセルしました。

今度こそ一安心。今日夜まで乗り切れば明日明後日は休みで病院にも行けます。思い切って会社に戻ると上司は外出したとのこと。

涙が出るほど安心しその日は早めに帰宅しました。

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