昼下がり
休職した方がいいのだろうか。会社を辞めた方がいいのだろうか。
ぼんやり考えながらエレベーターを待っていると「あかつきくん、お話ししませんか」と声を掛けられました。
相手は社内外のトラブル対応を担当する部署の責任者です。社内のハラスメント通報窓口も兼ねており、この方には私が調子悪いとの情報は既に入っていました。
元上司への泣き言
話は1ヶ月ほど前に遡ります。
今では別会社にいる元上司から仕事上の相談があるから食事をしないかと誘われました。その際にこちらの近況を聞かれ私は泣き言を言ったのです。

動悸が止まらないこと・・・
上司の声が聞こえるだけでつらいこと・・・
文書を読んでも理解できないこと・・・
最近はテレビを見ても意味が理解できないことを。
結論としてこのまま仕事を続けていくことは無理だと思うとの話をしたと思います。
最後の方はもう涙が流れてきてそれでも構わず話していました。他人にこれほど弱みを見せるのは初めてですし、涙が流れたことは自分でもびっくりですが、昔から目を掛けてくれた上司なので構わず話してしまいました。
心配した元上司がすぐに前職であるうちのハラスメント対策の責任者に報告と相談を行ったことで情報が入ったのです。
社内での立場
当時私はトップ層と日常的に関わり仕事をする立場でした。
私の前任として同じ立場を任された人を何人か見てきましたが既に全員が退職しています。
プレッシャーや理不尽な扱いが多く、今思えば退職間際には明らかに適応障害と思われる症状を全員が多かれ少なかれ出していました。
そのような職場環境であることを元上司も理解していたため心配してくれたのだと思います。
しかしトップ層が相手であるため、ハラスメント対策部門とはいえ会社内の1部門に私の周辺の環境を変えることができるわけがありません。
また客観的にはパワハラと言って良い行為を受けていたとは思いますが、それが日常であった私には特別なことには思えず、そんな程度のことで自分が挫けたり、負けたり、ましてや心を患うなどとは夢にも思っていませんでした。
よって他人に話すことで何かが変わると思っていませんでしたし、他の人に頼ることはこの程度のことに自分が負けることだと思っていました。
むしろそうした話が広まることで自分の立場を悪くしてしまうことの方が心配でした。
そういった理由から元上司にはこの話はしないようお願いしていましたが、まさかハラスメント対策の責任者に直接話しているとは。

退職以外の選択肢
ミーティングルームに入ると「最近ちょっと元気そうですけど何かありましたか?」と質問されました。どうやら私の最近の笑顔を見て回復したのかと少し安心していたようです。
私は病院に行ったこと、薬を服用していれば気分が良く頓服薬が効いている間は周りと笑顔での会話ができていることを話しました。
すると以前からもそうだったのですが今日は特に熱心に休職を勧めてきました。
そして安易な退職をしないことも同時に念を押されます。
・少し調子を崩した今は社員の正当な権利として休むべき
・むやみに仕事を辞めることは個人にとっても会社にとってもマイナスである
・しっかり休んで気分転換してから落ち着いた頭で退職や今後のことを考えればいい
・今まで会社に貢献してきたのだから今度は逆に会社の制度をしっかり利用するべき
概ねそういったアドバイスだったかと思います。
これまでは正直退職のことしか考えていませんでした。いつどうやって辞めてやろうか、次の仕事は何をしようか、給与の大幅ダウンは避けられないがどうやって生活していこうか。
そういったことばかり考えていました。
考えはするのですが途中で考えることが億劫になって結論は出ませんでした。
そして結論を出せない不快さから、いっそのこと「まずは辞めよう」という思考に支配されていました。
しかし医師や周りから休職を勧められることで少しずつ心が動き始めていました。
今まではまるで考えていなかった選択肢が大きくなってきます。
今後の生活についての心配が無く迷っている今の状況から脱出ができる方法。
「休職」という選択肢があるのだということに。
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